インタビューイー:障害者施設等一般病棟 看護師 荒川
私の看護師人生の原点
―― 私が看護師になった理由
もともと私は美容師になりたくて専門学校への進学を予定していました。そんな高校3年生の時に父がくも膜下出血で倒れました。一番最初に発見したのが私で、病院に救急で運ばれましたが亡くなってしまいました。とてもショックな出来事でした。実は亡くなる3日前くらいから頭痛を訴えていたのですが、私たち家族もまさかこんなことになってしまうとは思いませんでした。その経験から「家族や周りの大切な人に何かあった時に助けてあげられる人になりたい」「日頃から健康に気をつけて、症状や異常があった時に早期発見・治療をサポートしたい」と考え、看護師になる決意をしました。
熊本市内の九州看護福祉大学に進学し、卒業後は済生会熊本病院へ就職しました。将来的には保健師として地域の方々の健康維持・健康促進に関わる仕事に携わりたいと思い、急性期から慢性期まで一通り経験を積みたいと考えていました。済生会熊本病院ではEHCUという脳疾患の患者さまを看る集中治療室に配属され、約3年間働きました。
―― 急性期医療の現場で経験し、学んだこと
私が配属されたEHCUには、父と同じく脳卒中で救急搬送されて来られる患者さんも多くおられました。そして高度な医療設備が整った状況であっても救ってあげられない命があるということを経験しました。家族を突然失うことの辛さが分かる分、私は『看護師になったけれど救ってあげることができない』という現実にひどく落ち込みました。そんな時、先輩看護師からは「家族の気持ちが分かってあげられるあなただからこそ、かけてあげられる言葉・家族へのケアがあるんじゃない?」と言われました。病気については医師が一番分かっているけれど、患者さんの一番側にいて普段の様子をご家族に伝えてあげられるのは看護師です。突然家族が倒れ不安な思いをされているご家族には、患者さんの普段の様子を伝えてあげることで少しずつ寄り添うことができると思います。看護師として「ご家族の方にも寄り添った看護」を大切にしようと気付くことができました。
桜十字熊本宇城病院で働く魅力
―― 桜十字熊本宇城病院を選んだ理由
結婚を機に旦那さんの仕事の関係で愛知県へ転居することになり、ケアミックス型の病院へ転職をしました。そこで2年半ほど働いたタイミングで熊本に戻ることになり、桜十字熊本宇城病院と出会いました。
急性期の病院で働いている時から、『この状態で退院・転院して大丈夫なのだろうか?その先はどうなっていくのだろう?』という気持ちがありました。脳外科では麻痺の症状が残った患者さんが多く、まだ歩けない・車椅子にも乗れない状態で退院をしていかれる方も多くおられました。ご自宅に帰られる方ばかりではないことも知っていたので、慢性期・長期療養の患者さんへの看護・ケア・リハビリテーションを経験して技術や知識を学びたいと考え、桜十字熊本宇城病院への就職を希望しました。
―― 桜十字熊本宇城病院で学んだ大切なこと
ある透析患者さんとの関わりから、大切なことを学ぶことがありました。その患者さんは甘いものが好きで、「あれが食べたい、これが食べたい!」と要望されることが多い方でした。医師からは食事制限もされて治療をしている中、私は「どうして我慢できないんだろう」という気持ちが強く、駄目ですよと強く言ってしまうこともありました。その患者さんは入院中に心不全を併発してしまい、急変して亡くなられました。ご家族が涙を流しながらその患者さんのこれまでの人生についてお話をしてくれた時に、『私は表面的な事実しか見ることができていなかった』と気付かされました。どんな仕事をしていたのか、ご病気になるまでの暮らし方、その方の歩んできた人生に目を向けてアセスメントすることができていれば、もっと寄り添った看護・ケアができたのではないか、多職種と連携してもっと考えてやってあげられることがあったのではと反省しました。
コロナ禍で、今は限られた機会でしかご家族と関わりを持つことができませんが、少しでも患者さま・ご家族さまの人生に寄り添ったアセスメントができるように、その時の反省を胸に頑張っていこうと誓いました。
―― 心穏やかに、やりがいを持って働ける職場環境がここにはある
病院の建物がリニューアルされて、患者さんにとって最良な療養環境へ近づいたのではないかと思います。またハード面だけではなく、病院の方針も『患者さん・ご家族に寄り添った優しい病院』だと感じることができます。以前の職場ではご家族の希望があったとしても病院側の都合で退院していただくことがありましたが、当院では退院後のご家族の状況や本人の状態を考慮し、入退院を最大限調整しています。働くスタッフとしても病院の方針に共感ができ、さらに綺麗な職場環境で働けることでやりがいにつながっていると感じています。
個人的には、桜十字熊本宇城病院に入職してからとても心穏やかに働けています。急性期病院で勤務していた時は、自分が立てたスケジュール通りに仕事が進むことの方が少なく、常にいっぱいいっぱいな気持ちで働いていました。今は患者さんのケアの時間も多く取ることができ、「~~さんにはオムツ交換の時にもっとこうしてみよう!」とスタッフ同士で意見を出し合いながらケアを工夫したりできています。仕事面で心に余裕ができたことで、プライベートにおいても楽しむ余裕が生まれ、充実した時間を過ごせていると感じています。
好きな言葉は「七転び八起き」
人生には失敗や挫折がつきものです。私は反省することが多いのですが、あまりくよくよしないで「次にどうするか?」と考えて行動するように心がけています。過去は変えられないので、失敗を糧に「どんな看護師になりたいか?」と前向きにこれからも働いていきたいと思います。
看護職員 募集中!
桜十字熊本宇城病院では、看護師・准看護師・介護職(看護助手)の募集を行っています。